【TOPICs】 大学のGMP講座設置が広がる- 人材育成で業界の健全化をサポート
2004年の薬事法改正で医薬品製造の全面委託が可能となり、製薬企業の製造販売部門と製造部門を切り離す分社化が進んだ結果、現在の国内での医薬品製造の状況は、2019年以降GE医薬品の製造を中心に製造手順逸脱や不正が相次いで発覚し、医薬品の供給に重大な懸念を生じさせている。
2020年7月、東京理科大学は日本で初となる社会連携講座「医薬品等品質・GMP講座」を開設した。医薬品の品質やGMPに関する教育を通して「産・官・学」の連携を図り、(1)高品質の医薬品等の流通(2)効率的な革新的生産技術の適用(3)適切🅂かつ効率的な品質関連規制の運用-を設立の趣旨とする。
日本で医薬品製造管理者になるには、薬剤師資格が欠かせないが、薬剤師を育成する薬学部にはGMP教育の視点が欠けているという。同大学の講座では、EUの合理的な制度の「Qualified Person(QP)」の資格取得制度を参考に、「GMP教育訓練コース」を設置し、高度な人材育成に取り組む。具体的なコースは(1)e-ラーニング(導入、基礎、実践、分野別)(2)ハイフレックス方式(GMP対応エンジニアリング、GMP対応マネジメント講座)(3)実技講座で構成している。
富山大学薬学部でも、2022年4月にGE医薬品目メーカーの日医工とともに「医薬品品質保証・評価学講座」を開設した。医薬品メーカーの製造拠点を多く抱える同県に位置する同大医学では「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)」やデータサイエンス(DS)に精通した人材養成を講座設置の趣旨にかかげているのが特色。
2020年からGMP講座の設置は徐々に現れ始めた。現在では全国で3大学が設置するが、まだ少ないのが現状だ。医薬品の不正製造問題はコスト削減に追いやられたGE医薬品メーカーの経営問題が根にあることから、問題の本質は根深いが、人材育成には時間と労力とコストは欠かせない。
詳しい情報は
東京理科大学薬学部
医療薬学教育研究支援センター
医薬品等品質・GMP講座
https://www.rs.tus.ac.jp/alljapangmp/gmp_training_course.html
富山大学薬学部
医薬品品質保証・評価学講座